1992 年 54 巻 1 号 p. 43-52
アフリカ豚コレラ(ASF)強毒ウイルスTengani株をVero細胞に馴化してから, そのまま継代培養した場合と, クローニングしてから更に高継代した場合の両方共, 病原性, 免疫原性, 及び感染性の異ったSubpopulationを含むウイルスが容易に産生された. 第27代継代ウイルスの99%以上は接種豚体内で増殖の出来ない非病原性ウイルスであって, 明らかに自然界に存在しない実験室に於ける人工産物であった. 新Subpopulationの病原性の減弱は, 全く均一に起きる訳ではなく, 弱毒化した第27代継代ウイルスを接種した豚個体内では, 血中に連続的に夫々病原性及び免疫原性の異るSubpopulationの出現を見, ある時期に採取した血液材料から強い病原性を有するウイルスが分離出来た. 最初にクローニングを行ってから23代継代培養したウイルスの99.9%は, 接種豚にSubclinicalな感染を起す弱い病原性を示すウイルスであったが, 耐過豚を親株であるTengani株で攻撃した所, 完全な感染防御を示さなかった. Tengani株ウイルス中には, Lisbon '60株と共通の免疫原性を有するSubpopulationと, Tengani株固有のSubpopulationを保有する事が明らかとなった.