Journal of Veterinary Medical Science
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自然発生糖尿病ラット(WBN/Kob)の膵臓内分泌細胞数
土谷 稔涌生 ゆみ山岸 保彦勝田 修奈良間 功板倉 智敏
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1992 年 54 巻 3 号 p. 429-434

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抄録

糖尿病を自然発症するWBN/Kobの雄ラットの膵臓におけるインスリン, グルカゴンおよびソマトスタチン陽性細胞の数的変化について検索した. 検査対象ラットは週齢によって3つの群に分けた:I群(12週齢)とII群(33週齢)は臨床的に糖尿病を発症しておらず, III群(60~90週齢)は糖尿病であった. I・II群の血糖値は正常範囲内にあったが, III群のそれは著しく高かった. BおよびA細胞数はII・III群で顕著に減少していた. II群(糖尿病発症前)では, 内分泌細胞の総数は著減したもののB/A細胞比は正常に保たれていた. III群ではB細胞の割合が有意に減少していた. II群ではB細胞とA細胞の良好なバランスによって正常血糖値が保持されIII群では内分泌細胞の総数の減少に加えてB細胞とA細胞の数的不均衡が糖尿病態を引き起こしたと考えられた.

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