Journal of Veterinary Medical Science
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嘔吐型食中毒から分離したセレウス菌による空胞化活性因子の産生
品川 邦汎大竹 誠司松坂 尚典杉井 俊二
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1992 年 54 巻 3 号 p. 443-446

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抄録

米飯および実験用培地を用いて, 嘔吐型および下痢型食中毒事例から分離したセレウス菌の産生する,HEp-2細胞に対する空胞化活性因子の産生およびその性状を調べた. 嘔吐型食中毒由来菌株は, 米飯添加培地および米粉平板培地での培養遠心上清中に高い空胞化活性因子を産生した. しかし, 本空胞化活性因子はBHI培地, トリプトソイブイヨンではほとんど産生されなかった. さらに, この活性因子は芽胞形成後に産生され, タンパク分解酵素(ペプシン, トリプシン), 加熱, pH(2.0, 11.0)処理に対して極めて安定であった. 嘔吐型食中毒事例から分離したセレウス菌110株中68株(61.8%)が空砲化活性因子を産生し, このうち食中毒発生が最も多い鞭毛(H)血清型1型菌76株中56株(73.7%)が産生陽性を示した. これに対し, 下痢型事例由来菌14株は全て産生しなかった.

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