猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)定量のための免疫酵素抗体(IPA)法をこのウイルスに対する抗体の定量法として発展させた. この定量法を用いて自然または実験的FIPV感染猫の感染後の経過を観察し, 以下の3型に分類できることがわかった. 感染後, 長期にわたって1万IPA力価以内の値を示す猫は健康であった(I型). I型群の中から散発的に急激なIPA抗体の上昇を示す(最終的に32万倍)猫が現れ, 腹水貯留・水頭症・眼病変などの典型的FIP症を示し, 死亡した(II型). 一方, 感染後ゆっくりと抗体上昇を示し, その後10万倍前後の値を長期間にわたって示しながらも健康に生存した猫が, 後肢麻痺を誘発して死亡した(死亡時2万倍;III型).