Journal of Veterinary Medical Science
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ボツリヌスCおよびD型菌の保有する毒素変換および毒素非変換ファージの生物学的ならびに物理化学的性状とファージDNAの物理化学的性状
砂川 紘之井上 勝弘
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1992 年 54 巻 4 号 p. 675-684

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抄録

ボツリヌスC型菌468株とD型菌CB-16株から分離したそれぞれ2株の毒素変換ファージ(CEβ, d-16φ)と毒素非変換ファージ(CEγ, d-1')の生物学的・物理化学的性質とこれらのファージから分離したDNAの物理化学的性質を調べた. 各ファージの感受性菌への吸着常数はCEβ; 1.1×10-8, d-16φ3.3×10-8, CEγ1.4×10-8およびd-1'; 1.4×10-8ml/分であった. CEβ, d-16φ, CEγおよびd-1'の潜伏期は35, 45, 35, 35分, 産生数は38, 85, 35, 35個であった. 温度・pH・紫外線および有機溶媒などの因子に対して毒素変換ファージ2株はほぼ同様の感受性を示し, 毒素非変換ファージは2株とも全く同様の感受性を示し, その程度は毒素変換ファージの方が強かった. ファージDNAのGC%はCEβ;26, d-16φ;26, CEγ;29, d-1';29であった. ファージDNAの7種類の制限酵素による切断パターンは, 毒素変換ファージがSau3AIおよびPstIで異なる他は同じ傾向を示し, 毒素非変換ファージはいずれの酵素によっても全く同一であった. 制限酵素切断断片の移動度から計算した各ファージDNAの大きさは毒素変換ファージDNAが約110kb, 毒素非変換ファージDNAが約65kbであった. これらのDNA間の相同性は毒素変換ファージ間で50~75%, 毒素非変換ファージ間で約100%の相同性が認められたが, 毒素変換ファージと毒素非変換ファージの間には相同性が認められなかった.

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