1992 年 54 巻 5 号 p. 1023-1029
β蛋白, cystatin C, ユビキチン, tau蛋白, 及びneurofilamentに対する抗体を用いて, 高齢犬の脳を免疫組織化学的に検索した. 全てのtypeの老人斑, 及び脳血管アミロイドが抗β抗体に強陽性を示した. 抗cystatin C抗体には大脳皮質の神経細胞の他, primitiveあるいはclassical plaque, 毛細血管周囲に沈着したアミロイドが陽性であったが, diffuse plaqueや中小動脈壁に沈着したアミロイドは陰性であった. 高齢犬の脳では, 若齢犬の脳に比べ, 多数のユビキチン陽性顆粒が存在し, 老人斑にみられる変性神経突起様構造物がユビキチンに強陽性を示した. オートクレーブ前処理により軸策, 神経細胞及び膠細胞が抗tau蛋白抗体に陽性を示し, 稀にclassical plaqueの辺縁にごく少数のtau陽性物質がみられた. また非常に稀にneurofilament陽性物質を少量含む老人斑がみられたが, 殆どの老人斑の変性神経突起様構造物はneurofilament抗体に陰性であった.