Journal of Veterinary Medical Science
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犬におけるワクチン接種後のリンパ球幼若化反応および遅延型過敏反応の変化
宮本 忠田浦 保穂宇根 智吉武 信中間 實徳渡辺 誠冶
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1992 年 54 巻 5 号 p. 945-950

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抄録

犬におけるワクチン接種の免疫学的効果を明らかにするために, ワクチン接種後の白血球数・リンパ球数, 抗体価, リンパ球幼若化反応と遅延型過敏反応(DTH)の推移を測定した. 初回に混合ワクチン(犬ジステンパー, 犬アデノウイルス1型, 犬パルボウイルス)を, 21日目に犬パルボウイルス(CPV)ワクチンを再接種した. 白血球数・リンパ球数は, 幼若犬, 成犬ともに7日目に有意な減少が認められた. リンパ球幼若化反応は, 幼若犬では各ワクチン接種後に有意に上昇したが, 成犬では, 高反応性のものと低反応性のものの2群に分かれた. すなわち, ワクチン接種前に高SI値の成犬は初回ワクチンン接種後にSI値が低下し, 低SI値の成犬は逆に上昇した. しかし, ほとんどすべての犬が高い抗体価を得たことから, ワクチン接種は免疫調節的に働くと考えられた. 一方, フィトヘマグルチニン(PHA)とCPVワクチンを用いたDTHを初回ワクチン接種後0, 3, 8週目に行った. PHAとCPVワクチンを接種した部位は強いDTH反応を呈した. 特にCPVワクチンを用いたDTH反応はワクチン接種によって有意に上昇し, これは少なくとも2ヵ月間持続した. PHAとCPVワクチンを用いたDHTはin vivoにおいてそれぞれ非特異的, 特異的免疫能の測定として有用であり, 犬の臨床において簡易かつ迅速な細胞性免疫検査として有用であると考えられた.

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