1992 年 54 巻 6 号 p. 1131-1135
ハムスターの肩甲間褐色脂肪細胞における脂肪滴とミトコンドリアとの関係について, 電顕組織学的に検索を行った. まず, 脂肪滴とミトコンドリアが接触すると, 接触部分のミトコンドリア膜に変性が起こり始める. その後, 接触部分よりミトコンドリアのクリステが崩壊していく. 変性途中のミトコンドリアは脂肪滴によって徐々に包囲され, 脂肪滴内に空砲として存在するようになる. 最終的には, 残っていた外膜も消失し, フラグメントとして認められるようになる. また, 以上のような構造変化の起こっている細胞では脂肪滴内にミトコンドリア膜の残渣のような構造がみられた.