Journal of Veterinary Medical Science
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培養細胞およびトランスジェニックマウスにおけるラットレニンプロモーター活性
杉山 文博深水 昭吉梶原 典子上原 小百合杉山 芳宏村上 和雄赤堀 文昭八神 健一
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1993 年 55 巻 4 号 p. 537-541

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抄録

血圧調節に必要な機能を持つ酵素レニンは, おもに腎臓で合成されている.我々はラットレニンプロモーターの特質を明らかにするため, ラットレニン遺伝子の上流238bpの推定制御領域にクロラムフェニコール・アセチルトランスフェラーゼ(CAT)を連接させたレポーター遺伝子を構築し, このCAT融合遺伝子をin vitroトランスフェクション法で培養細胞ヘ導入し, またマイクロインジェクション法でマウスの受精卵へ導入しトランスジェニック(Tg)マウスを作成して, そのプロモーター活性を測定した. トランスフェクション解析においてCAT活性は胎児性腎臓293細胞で発現したが, 子宮頸癌由来のHeLa細胞では発現せず, ラットレニンの推定プロモーター領域が細胞依存的発現様式において転写を支配していることが示された. そこで同じ配列がマウスにおいてCAT遺伝子の発現における転写を支配する能力があるか検討するため, 作成した7匹のトランスジェニックマウスを解析した. しかしながら, 導入した外来遺伝子は, 検査したどのTgマウスの腎臓においても発現が見られなかった. これらより, 発育するマウス個体においてラットレニンプロモーター活性を発現させるには238-bpのプロモーター領域にさらに追加しなくてはならない調節領域が必要である可能性が示唆された.

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