全身の横紋筋に多発結節の認められた牛3頭について, 寄生虫学的検査, 肉眼および病理組織学的検査および免疫組織化学的検査(酵素抗体法)を行った. 剖検所見では, いずれの検体においても, 全身の横紋筋に帯黄緑色, 米粒大の結節が認められ, 内部はチーズ様物で満たされていた. 結節の組織所見は, 好酸球を主体とする肉芽腫であった. 結節内には, Sarcocytisのシスト, ブラディゾイトは検出されなかったが, その周囲の正常な筋肉には, S. cruziの寄生が認められた. 抗S. cruzi家兎血清を用いた免疫組織化学的検査(ABC法)において, 結節壊死部にS. cruzi家兎血清に強い陽性反応が認められた. 以上のことより, 本症例をSarcocystisによる牛の慢性住肉胞子虫症と診断した.