1993 年 55 巻 5 号 p. 789-793
メデトミジンとミダゾラムの組み合わせで鎮静した豚に, それぞれの拮抗薬であるアチパメゾール(80, 160, 240μg/kg, 筋肉内投与)およびフルマゼニル(100μg/kg, 静脈内投与)を投与した場合の拮抗効果について検討した. その結果アチパメゾールはいずれの用量でもメデトミジン-ミダゾラムによる鎮静を効果的に拮抗し, 覚醒時間, 起立時間, 全回復時間は有意に短縮した. この中で最も良好な覚醒を得られたのは, 160μg/kg投与時で, 鎮静からの覚醒は迅速かつ円滑で, 過剰運動, 頻脈等の副作用もほとんど認められなかった. フルマゼニルは豚を一旦覚醒させたが, その後再度鎮静状態に戻った. アチパメゾール(80μg/kg)とフルマゼニル(100μg/kg)の組み合わせは最も効果的に鎮静に拮抗したが, 実際の使用にあたっては, アチパメゾール160μg/kgの単独使用で十分な効果が得られると考えられた.