Journal of Veterinary Medical Science
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ワラビに含まれるプタキロサイドによる羊の進行性網膜変性症(bright blindness)の再現
廣野 巌伊藤 充哉柳生 茂羽賀 正信若松 一雅岸川 輝彰西川 宰山田 静之小鹿 一木越 英夫
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1993 年 55 巻 6 号 p. 979-983

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抄録

Suffolk種の雄羊2頭にワラビ粉末を含む飼料を投与し, 網膜変性症(bright blindness)を誘発した. 網膜変性症発現の最初の徴候は, 実験開始後4力月で認められた. この成績から網膜変性症を誘発するために必要なワラビ粉末量が算定され, 同時に初発徴候が観察された(実験I). 次に, ワラビに含まれている発癌物質であり, 同時に牛のワラビ中毒の原因物質でもあるプタキロサイド(illudaneタイプのnorsesquiterpene glucoside)を, Suffolk種雄羊2頭に投与した(実験II). この実験IIにおいても, 先のワラビ飼料を投与した羊にみられたと同様の網膜変化が誘発された. したがって, プタキロサイドが, ワラビによる進行性網膜変性症の原因物質であることが示唆された.

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