Journal of Veterinary Medical Science
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Bordetella bronchiseptica感染に対する子豚の全身性および局所性IgG, IgA抗体産生のELISAによる検出
甲野 雄次鈴木 清示向井 哲哉岡崎 克則本多 英一山城 富男
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1994 年 56 巻 2 号 p. 249-253

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抄録

Bordetella bronchiseptica感染豚の抗体検出のためにホルマリン不活化B. bronchiseptica I相菌を抗原としたELISAを開発した. このELISAはBordetella bronchisepticaの莢膜抗原(K抗原)に対するIgGおよびIgA抗体を検出した. この方法を用いてB. bronchiseptica感染豚の抗体応答を調べた結果, 小量の移行抗体(凝集抗体価10倍以下, 平均ELISA値0.47)を持った豚では, 血中のIgG抗体は鼻腔中で大量の菌が増殖したのち平均4週目から, 鼻腔粘液中IgGおよびIgA抗体はそれぞれ1および2週目から増加した. 一方, 大量の移行抗体(平均凝集抗体価149, 平均ELISA値1.49)を持った豚では血中IgG抗体の産生が著しく抑制されると共に, 局所抗体の産生時期の遅延と産生量の著明な抑制とが認められた. このように, 移行抗体による抗体産生の抑制は, その量に依存し, 全身性抗体産生を強く抑制すると共に局所抗体産生にも強く影響した. しかし, その程度は全身性抗体の産生において強い様に思われた. 鼻腔粘液中の抗体の上昇と鼻腔中のB. bronchisepticaの消長については明らかな関係を見い出すことはできなかった.

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