Journal of Veterinary Medical Science
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Bifidobacterium thermophilum由来Peptidoglycan経口投与による大腸菌感染防御能の賦活効果
佐々木 隆志深見 直波岡 茂郎
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1994 年 56 巻 3 号 p. 433-437

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抄録

ブタ由来Bifidobacterium thermophilumのPG経口投与による感染防御能の増強を検討するため, 34日齢のSPF ICRマウスに各濃度のPGを1回経口投与し, 24時間後に子ブタ肺由来大腸菌を尾静脈に接種, その後7日間観察し生残率を求めた. 各濃度PGの経口投与群は非投与対照群に比べ, 有意に高い生残率が得られ, またPGの効果発現の適正濃度が(500μg/マウス)確認されると同時に適正濃度以上のPGを経口投与すると逆に生残率が減少する結果が得られ, 高濃度では該物質は抑制的に作用することが示唆された. さらに500μg濃度のPG経口投与マウスにおける大腸菌感染防御能の持続期間を検討したところ, PG経口投与群は1日後から7日後に大腸菌を接種してもその生残率は非投与対照群に比べ有意に高い結果が得られた. 大腸菌接種24時間後のマウス末梢血, 肝臓および脾臓中の大腸菌数は, PG経口投与群は非投与対照群に比べ, 末梢血および肝臓中大腸菌数が有意に少なかった. また, PG経口投与群の脾臓由来単核細胞の幼若化反応は非投与群のそれに比べ高まることが明らかとなった. これらのことからPG経口投与によって肝臓での大腸菌殺菌能が昂進され, 結果的にマウスの生残率が上昇することが示唆された.

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