Journal of Veterinary Medical Science
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Monocrotaline誘発肺高血圧症ラットにおける心筋症と心房性ナトリウム利尿ペプチドの発現
廣川 悦郎小谷 猛夫山手 丈至桑村 充佐久間 貞重
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1994 年 56 巻 4 号 p. 651-655

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抄録

Monocrotaline(MCT)誘発肺高血圧症ラットにおける心病変を形態学的及び免疫組織化学的に検索した. MCT(60mg/kg体重)をSD雄ラットの皮下に単回投与後, 進行性の心病変が形成された. 組織学的に, 心病変は右房室心筋細胞の肥大, 並びに単核細胞浸潤及び線維芽細胞の増殖を伴った心筋変性により特徴づけられた. これらの組織学的変化は投与後3週より観察され始め, 投与後4及び5週殺ラットにおいて進行性に増強した. これらの所見はMCT誘発肺高血圧症に起因する進行性肥大性心筋症を示すものと考えられる. 免疫組織化学的に, MCT投与後4及び5週殺ラットの左右心室筋に心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)陽性細胞がしばしば発現した. その強い免疫陽性反応は右,心室内膜下の肥大心筋細胞に主に観察され, またその陽性反応は変性心筋, 単核細胞浸潤及び線維化から成る病巣周囲の肥大心筋細胞にも存在した. これらの所見はMCT投与ラットにおけるANP発現と心肥大との密接な関係を示唆する.

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