Journal of Veterinary Medical Science
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腰痿を呈する若馬の頚椎骨の形態学的解析
冨澤 伸行西村 亮平佐々木 伸雄林 良博仙波 裕之原 茂雄廉澤 剛竹内 啓
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1994 年 56 巻 6 号 p. 1081-1085

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抄録

腰痿を呈する若馬の頸椎骨について, 多変量解析の手法を用いて骨形態学的解析を行った. はじめに, 跛行のない対照馬39例の第3~第7頸椎骨に関して計測した28変数を用いて, 重回帰分析およびクラスター分析を行った. その結果, いずれの部位に関しても頸椎骨の成長に関して性差がないこと, 解析を行う場合, 成長に伴う椎骨形態の変化を考慮し, これらの若馬を8ヵ月齢以下, 9~12ヵ月齢, 13ヵ月齢以上の3群に分類するのが適当であることが判明した. これらの結果をもとに, 最も数の多かった13ヵ月齢以上の腰痿馬28例と対照馬19例の頸椎骨に関して, 20変数を用いて判別分析による変数選択を行った.その結果, 第3~第7の各頸椎骨において1~7個の変数が選択された. これらの変数を用いると, 腰痿馬と対照馬の頸椎骨について高い確率で判別を行うことができた. 頸椎骨全体においては, 椎骨前部および後部における椎孔の高さ, 椎頭の前後長および椎窩の高さが判別に強く寄与していた. 頸後部においては, さらに関節突起の横径や前後径も判別に大きく寄与していた. これらの結果から, わが国の腰痿馬の頸髄病変が頸椎骨の骨軟骨症や二次的な変形性関節症などの形態異常によって起こることが強く示唆された.

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