Journal of Veterinary Medical Science
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腰痿馬の不安定頸椎(Cervical Vertebral Instability)に対する新X線計測法
冨澤 伸行西村 亮平佐々木 伸雄廉澤 剛仙波 裕之原 茂雄竹内 啓
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1994 年 56 巻 6 号 p. 1119-1122

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抄録

腰痿馬の不安定頸椎(Cervical Vertebral Instability)をより的確に診断するために, 同一個体における計測値の比を指標として頸椎管狭窄率を示す新しいX線計測法を考案した. 軽種若齢馬12頭の頸中央部屈曲位のX線写真を用いて, 脊髄造影写真および単純X線写真における脊髄の狭窄率を定義し, 頸髄の病理組織学的所見と比較した. 脊髄造影写真の狭窄率は脊髄病変の認められた対象馬6頭のうち5頭(83%)において病変部と一致した部位で40%以上の値を示した. また, 単純X線写真の狭窄率は脊髄病変の認められた対象馬6頭のうち4頭(67%)において病変部と一致した部位で40%以上の値を示した. 脊髄病変の認められなかった6頭のうち, 脊髄造影写真および単純X線写真の狭窄率が40%以上を示したものは1頭のみであった. 基準値とした40%についてはさらに検討する必要があるが, 今回のX線計測法を用いた場合, 頸髄病変の有無やその位置の的確な判定を行うことが可能であり, 腰痿馬の不安定頸椎に対する臨床診断に非常に有用であると考えられた.

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