Journal of Veterinary Medical Science
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犬の先天性膝蓋骨脱臼の新しい手術法
永岡 勝好織間 博光藤田 道郎一木 彦三
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1995 年 57 巻 1 号 p. 105-109

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抄録

犬の先天性膝蓋骨脱臼は, 超小型および小型犬種に多くみられ, そのほとんどは内方脱臼である. 脱臼が放置されると患肢の変形や発育障害が起こり, 重症例では患肢は機能喪失に陥ることが多い. 従って, できる限り早期に外科的矯正を行う必要がある. しかし, 飼主が異常に気付くのが遅く, 一般に6ヶ月齢頃に手術される例が多い. 著者らは繁殖者および飼主を教育することにより, 早期に手術する機会を得た. 矯正には種々の術式が開発され, 広く応用されてきたが, それらの効果は多様である. 著者らは独自の手術法を開発し, それを1985年以来多数の症例に応用して良好な成績を得た. 術式は脛骨粗面の内側の皮質骨を脛骨稜に沿って縦の溝を切り, これに人工骨セラミックスまたは自家骨移植片の小片を挿入し, 脛骨粗面と脛骨稜を外方へ偏位させる. この方法で大腿四頭筋, 膝蓋骨, および膝蓋靭帯を大腿骨滑車の上に正しくアラインメントできる. 従って, この手術は犬が麻酔および手術侵襲に充分耐えることができる1.0~3.0ヶ月齢に行うのが最も良いと考えられた.

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© 社団法人 日本獣医学会
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