1995 年 57 巻 2 号 p. 193-197
インドメタシンが肝臓の血行動態および酸素需給動態に及ぼす影響を右心バイパス法を用いて検討した. インドメタシンの選択的腸血流管収縮作用によって門脈血流量が減少した. 一方, 肝動脈血流量はインドメタシン投与後増加したが, 総肝血流量はインドメタシンの投与によって変化しなかった. 門脈血酸素供給量はインドメタシン投与後著明に低下した. この低下は, 門脈血流量と門脈血酸素含有量の双方が減少したためであった. しかしながら総肝酸素供給量はインドメタシン投与前後で変化しなかった. これはインドメタシン投与後, 肝動脈血酸素供給量が増加したためであった. 肝酸素消費量および肝酸素利用率はインドメタシンの投与によって影響を受けなかった. 以上の結果, インドメタシンの投与によって門脈血流量および門脈血酸素供給量の低下が起こったが, 総肝血流量および総肝酸素供給量は良く維持されていたことが判明した.