Journal of Veterinary Medical Science
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ジゴキシゲニン標識オリゴヌクレオチドプローブ(CAC)5を用いたDNAフィンガープリント法によるネコ条虫の遺伝的変異の解析
岡本 宗裕上田 裕美林 正信奥 祐三郎黒澤 努神谷 正男
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1995 年 57 巻 2 号 p. 267-272

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抄録
ネコ条虫よりDNAを抽出し, ジゴキシゲニン標識オリゴヌクレオチドプローブ(CAC)5を用いたサザンハイブリダイゼーションを行ったところ, 明瞭なDNAフィンガープリント像が得られた. このDNAフィンガープリント像は, 宿主のものとは全く異なっており, また, 成虫と嚢虫の間でも差が見られなかったことから, ネコ条虫個体特異的と考えられた. 分離された地域, 宿主の異なるネコ条虫4分離継代株についてDNAフインガープリント法により分離株間の遺伝的変異を調べた. その結果, これまで感染性, 形態, 嚢虫の蛋白組成等では区別できなかった3分離株を含め, 4分離株すべてから分離株特異的なDNAフインガープリント像が得られ, 互いに明瞭に区別することができた. (CAC)5は, 条虫の遺伝的変異を調べる際に非常に有用なプローブであると考えられた. 32P標識とジゴキシゲニン標識のプローブを使用した場合のフィンガープリント像を比較すると, ジゴキシゲニン標識では, バンドの強度が平均化する傾向が見られ,32P標識の場合に較べより多くの明瞭なバンドを検出することができた. 条虫の遺伝的変異を検出するにはジゴキシゲニン標識プローブがより有効と考えられた.
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