Journal of Veterinary Medical Science
Online ISSN : 1347-7439
Print ISSN : 0916-7250
ISSN-L : 0916-7250
血管透過性亢進冗進型肺水腫モデル犬における肺血管外水分量と胸部X線像との比較
竹田 明子奥村 滋宮本 徹萩尾 光美藤永 徹
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 57 巻 3 号 p. 481-485

詳細
抄録

血管透過性亢進充造型肺水腫における肺血管外水分量(ELWV)と胸部X線撮影像とを比較するため, オレイン酸による軽度から中等度の肺水腫モデル犬を作出し, ELWV, 胸部X線所見および血液ガス分析結果の相互関係について検討した. オレイン酸投与後, ELWVが約37%の有意な上昇を示した時点で, 胸部X線所見に軽度な肺水腫像を認めたが, この時点での胸部のX線吸収量の増加は約10%であった. ELWVの増加に伴い, PaO2の減少, PaCO2の増加がみられ, 肺の換気能の低下が明らかとなった. したがって, 血管透過性亢進型肺水腫作出モデル犬において, 熱いNa二重指示薬希釈法により得られたELWVは, X線写真上に変化が認められないような軽度の肺水腫を検出するために有効と考えられた. また, 血管透過性亢進型肺水腫における胸部X線写真では肺水腫がかなり進行して初めてその所見が現れるため, 胸部X線写真は軽度の血管透過性亢進型肺水腫のよい指標とはならないと考えられた.

著者関連情報
© 社団法人 日本獣医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top