Journal of Veterinary Medical Science
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豚の下痢症より分離されたパルボウイルスの豚での実験感染
安原 寿雄山中 盛正出水田 昭弘平原 正中井 正久稲葉 右二
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1995 年 57 巻 4 号 p. 629-634

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抄録

豚の下痢症例より分離されたパルボウイルス, H-45株の豚での感染性と病原性を調べるため, 初乳未摂取の2日齢, 5日齢の哺乳豚及び30日齢, 100日齢豚を用いて感染実験を行った. 105又は106 TCID<50>のウイルスを経鼻あるいは経口接種したすべての日齢の豚の直腸スワブよりウイルスが検出され, また, 鼻腔からのウイルス排出を調べた5日齢豚の鼻腔スワブからも継続的にウイルスが検出された. 一方, 各群に同居させた非接種豚の直腸スワブ及び鼻腔スワブからもウイルスが接種豚と同時期かやや遅れて検出され, ウイルスの同居感染が認められた. 同居豚を含む接種後14日まで生存した豚において, 接種ウイルスに対する中和抗体の上昇が認められた. 臨床的には2日齢, 5日齢及び30日齢の豚群で, 接種後5日までに下痢の発現が認められ, 2日齢の同居豚を含む全頭(6頭)と5日齢の5頭中1頭は脱水症状を呈して接種後2日から10日の間に死亡した. 100日齢豚では臨床症状はみられなかった. 経鼻接種した死亡豚では呼吸器及び消化器を中心に多くの臓器から接種ウイルスが分離され, 経口接種した死亡豚では小腸のみからウイルスが分離された. これらの小腸では, 肉眼的には粘膜の充血と出血が観察され, 病理組織学的には小腸上皮細胞の変性と剥離が認められた.

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