Journal of Veterinary Medical Science
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野外鶏群におけるインフルエンザウイルス抗体保有調査
大槻 公一米田 裕光入谷 好一
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1995 年 57 巻 6 号 p. 1063-1066

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抄録

日本国内では過去70年間家禽ペストの発生報告はない. しかし, 海外では現在でも本病の発生がしばしば報ぜられている. そこで私たちは47府県で飼育されている鶏の血清8,850例についてインフルエンザウイルスの抗体保有状況を調べた. 私たちがコハクチョウから分離したH6N6インフルエンザウイルスを抗原とするゲル内沈降反応によりまずスクリーニングを行った. 沈降ラインを形成した陽性例について鶏赤血球凝集抑制反応およびノイラミニターゼ抑制反応を行い亜型を調べた. その結果, わずか6例ではあったが, 陽性例が検出された. そのうち4例はヒトインフルエンザウイルスであるH1N1ウイルスに対する抗体を保有していた. すなわち, 1971年に採血された1例は古いA/PR/34株にのみ反応し, 1983, 1985年に採血された3例はA/Yamagata/120/86と最も強く反応した. 残る2例はトリインフルエンザウイルスであるH10N4, H3N6ウイルスと反応した. 鶏がヒトインフルエンザウイルス抗体を保有していることは興味深く思われた. 今後は感度のより高い反応を用いて検討したい.

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