1995 年 57 巻 6 号 p. 1117-1120
新たな細胞株NB-YKを, Fischer 344ラットの自然発生腎芽腫に由来する可移植性腎芽腫(NB-Y)から樹立した. NB-YKはプラスチック表面で重層性・非結合性に増殖し, 軟寒天内でコロニーを形成した. NB-YKの主要な細胞は形態学的に間葉系の性格を示し, 大部分は細胞質内に数個の分泌を持っていた. NB-YK細胞は免疫組織化学的にケラチン, ビメンチン及びラミニン陽性であった. NB-YKのケラチンとビメンチンの同時発現が中間系フィラメント蛋白の一次元電気泳動及び免疫ブロッテイングによって確認された. NB-YKは同系ラットとヌードマウスにおいて腫瘍原性を示し, 線維肉腫様腫瘍を形成した. NB-YKは腎芽腫の生物学的性状研究のための有用なモデルと考えられる.