Journal of Veterinary Medical Science
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ニホンアカガエルのボウマン腺およびヤコブソン腺の発生学的研究
谷口 和美登嶋 嘉則斎藤 徹谷口 和之
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1996 年 58 巻 1 号 p. 17-22

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抄録

ニホンアカガエルの嗅上皮および鋤鼻器それぞれの付属腺であるボウマン腺とヤコブソン腺の形態形成を, 光顕および電顕により観察した. 成体では, ボウマン腺はPAS強陽性で電子密度の低い大型分泌顆粒を, ヤコブソン腺はPASにわずかに陽性で様々な電子密度の中型分泌顆粒を含んでいた. 発生学的には, ボウマン腺は孵化44日に嗅上皮内に形成され, 孵化52日にはその数は増加し, 一部は上皮下へ移動した. この時期のボウマン腺は電子密度の低い大型分泌顆粒と良く発達した粗面小胞体を備えていた. 一方ヤコブソン腺はボウマン腺より早期に形成された. すなわち鋤鼻器は孵化4日後に嗅上皮腹側部の内側方への陥凹として形成され, この鋤鼻器上皮下に, ヤコブソン腺は孵化10日後に形成された. ヤコブソン腺は孵化12日には良く発達した層板状の粗面小胞体を, また孵化24日には少数ながら分泌顆粒を有し, その後顆粒数は漸増した. 以上より, 発生学的に嗅上皮は鋤鼻器より早期に形成されるにもかかわらず, それぞれの付属腺では発生の順番が逆転し, ボウマン腺はヤコブソン腺よりも遅れて形成され, 機能を開始すると思われた.

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