Journal of Veterinary Medical Science
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ウシ初乳中の細胞成長因子の精製と性状
岸川 嘉洋渡部 敏渡辺 翼久保 周一郎
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1996 年 58 巻 1 号 p. 47-53

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抄録

母乳中には新生児の成長および発育に必要な栄養素, ミネラル, ビタミン類のほかに細胞成長因子が含まれ, 母乳は継代培養細胞の培地成分として血清の代わりに使用できることが明らかにされている. 本研究では, 上皮細胞(ウシ腎由来CKT-1, イヌ腎由来MDCK)および線維芽細胞(ラット骨格筋由来L6, マウス胎仔由来BALB/c3T3)の4種類の培養細胞を使用し, [3H]チミジン取り込み法により, ホルスタイン初乳中の細胞成長因子の種類, 初乳の産後採取時間による細胞成長活性の動態, 上皮細胞成長因子の精製法および精製因子の性状を検討した. その結果, ウシ初乳中にはCKT-1, MDCKおよびL6に対し, 細胞成長活性および産後採取時間により動態を異にする因子が存在することを認めた. さらに, CKT-1に対し高い成長活性を有し, 初乳の産後採取時間(1-68時間)を通じ活性のほぼ一定しているペプチド因子を精製し, その等電点, 分子量およびアミノ酸組成を明らかにし, この因子は従来他の研究者が報告しているものとは異なる性状を示すと結論した.

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© 社団法人 日本獣医学会
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