Journal of Veterinary Medical Science
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X線照射によりニワトリヒナのファブリキウス嚢に誘発されるアポトーシス
荒井 惣一郎小和田 友美竹花 一成三好 邦枝中西 宥林 正信
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1996 年 58 巻 10 号 p. 1001-1006

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抄録

X線照射によりニワトリヒナのファブリキウス嚢細胞に誘発されるアポトーシスについて, 誘発の時間的経過および線量依存性, さらにアポトーシス細胞の超微形態を調べるため, ふ化後1日以内のニワトリヒナにX線を全身照射後, 経時的にファブリキウス嚢を採取し, 光顕および電顕によりファブリキウス嚢の組織学的変化を調べた. 光顕による観察の結果, 8Gy照射後2時間以内にリンパ小節において核濃縮細胞の増加が認められ, その頻度は照射後6時間で最大となった. 核濃縮細胞の増加は1Gyの照射で認められ, 線量の増加とともにその頻度は増加した. 電顕により照射後のファブリキウス嚢には, クロマチンの異常濃縮, 核の断片化, アポトーシス小体の形成, およびこれらの異常を呈する細胞の貪食細胞による取り込みを示す像が多数認められた. さらに, X線照射後のファブリキウス嚢から抽出したDNAは, アガロースゲル電気泳動により梯子状パターン(DNAラダー)を示した. 以上の結果は, 比較的低線量の電離放射線によりニワトリヒナのファブリキウス嚢細胞は形態学的および生化学的に典型的なアポトーシスを起こすことを示している.

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