Journal of Veterinary Medical Science
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型特異抗原性を保有するStreptococcus suis type 2シアル酸莢膜抗原の調製法
勝見 正道齋藤 忠夫片岡 康伊藤 敞敏菊池 直哉平棟 孝志
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1996 年 58 巻 10 号 p. 947-952

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抄録

Streptococcus (S.) suis NCTC10234株(血清型2型)から3つの異なった方法(リゾチーム処理法, オートクレーブ抽出法, 塩酸抽出法)により莢膜多糖(CPS)を調製し, ゲル濾過とプロトン核磁気共鳴スペクトルによるパターン分析および同株で作製した家兎免疫血清に対する抗原力価の比較により, S. suis血清型2型のCPSに対する最適調製条件を決定した. その結果, オートクレーブ抽出法が最適であり, 純度の高い完全な抗原構造を保ったCPSが, 安全に短時間で調製できた. 同株のCPSは, Rhamnose (Rha), Galactose (Gal), Glucose (Glc), N-acetylglucosamine (GlcNAc)およびN-acetylneuraminic acid (NeuAc)から構成され, モル比はRha: Gal: Glc: GlcNAc: NeuAc=1.05: 3.86: 1.00: 0.84: 1.25で, 分子量は, 310 KDaと推定された. また, シアル酸を弱加水分解で除去したアシアロ化CPSはS. suis血清型2型の抗血清に全く反応せず, 抗原性は完全に消失していた. さらに, ノイラミニダーゼ処理によりCPSは75%以上の抗原性が失われた. 以上の結果, S. suis血清2型の抗原エピトープ部分にはNeuAcが含まれており, 抗原決定基としてNeuAcが極めて重要な役割を果たしていることが判明した.

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