ニワトリの純血腫として3種類:ロードアイランドレッド種(RIR, n=125), シャモ種(JG, n=101)および白色レグボン種(WL, n=52), RIRの交雑種群として4種類:RIRとJGとの雑種第一代(RIR×JG, n=44), RIR×JGをJGと退交雑(戻し交配)した雑種第二代[(RIR×JG)×JG, n=10], RIRとWLとの雑種一代(RIR×WL, n=73)およびRIRとデカルブアンバーリング(DAL)との雑種第一代(RIR×DAL, n=56)の計7種類461羽について標準肢誘導法による心電図検査を実施し, ニワトりに自然発生する不整脈の発生状況を検索した. その結果, 107例(23.2%, 107/461)に9種類の不整脈が観察された. その内訳は, 洞性不整脈66例, 心房性期外収縮19例, 心室性早期興奮症候群9例, 心室性期外収縮7例, 第2度房室ブロック2例, 心房細動1例, 心室内変行伝導1例, 心室内伝導障害1例および電気的交互脈1例であった. 洞性不整脈を除くとRIRの発生率はRIR以外の純血種(p<0.001)あるいはRIRの交雑種群(p<0.01)と比較して有意に高かった. 本報告はニワトリに自然発生する不整脈として心室性期外収縮および洞性不整脈の両者を除く不整脈について最初のものである. WLに洞性不整脈が多く発生したことおよびRIRで洞性不整脈以外の不整脈が目立っていたことに関して, その原因は不明であったが, 今回の結果からニワトリ, 特に不整脈の頻発がみられたRIRは不整脈の研究に適した動物である可能性を示唆していた.