1996 年 58 巻 10 号 p. 989-994
ビトロネクチン(Vn) cDNA (1555 bp) (D61396)をブタ肝臓のcDNAライブラリーより単離, その全塩基配列を決定した. それより推測されるアミノ酸配列を他種動物Vnと比較したところ, アミノ酸配列の相同性は低かったが, 細胞接着, ヘパリン結合, 糖鎖装飾, plasminogen activator inhibitor I結合等の他種動物Vnが持つ生物活性部位はよく保存されていた. さらに, Vn mRNA発現調節機構を知る手掛かりを得るため, 成長ホルモン(GH)投与を受けた4ヵ月齢去勢F1雄豚の肝臓および骨格筋中のVn mRNA発現量の維持的変動の解析を試みた. 肝臓中Vn mRNA量にはGH投与の影響は認められなかったが, 骨格筋中Vn mRNA量には変動の傾向が窺えた.