1996 年 58 巻 10 号 p. 995-999
妊娠ラットを対照群, 副腎除去群, 副腎除去およびコルチコステロン投与群の3群に分けた. 母体の副腎除去は妊娠6日目に行った. 手術の日から観察時までコルチコステロンを母体へ投与した. 胎齢12日から16日のインシュリン産生B細胞の発達パターンを免疫組織化学的, 組織計測学的に検討した. 胎齢12日から15日において, 母体の副腎除去は, インシュリン陽性B細胞総体積の有意な減少を引き起こした. 母体へのコルチコステロン投与はこの減少を阻止した. しかしながら胎齢16日において, B細胞総体積は, 母体の副腎除去による抑制的な影響を受けなかった. これらの結果は, 副腎皮質ホルモンの欠如はB細胞の初期の発達において遅延を引き起こすこと, そしていったんB細胞が発達すると, その発達は副腎皮質ホルモンに依存しないことを示唆している.