1996 年 58 巻 11 号 p. 1099-1105
Theileria sergentiからガングリオシドを精製し, 薄層クロマトグラフイー(TLC)ならびにTLC immunostainingテストにより分析した. T. sergentiのガングリオシドは4種類のガングリオシド(G-1, G-2, G-3およびG-4)からなり, G-1はTLC上でGM3と, G-2はsialosylparagloboside(SPG)と, G-3はi型ガングリオシドと, G-4はI型ガングリオシドと同じ移動度を示した. さらに, モノクローナル抗体を用いてTLC immunostainingテストにより反応性を調べた結果, G-1, G-2, G-3およびG-4は, 抗GM3モノクローナル抗体, SPGに対するモノクローナル抗体, 抗i型ガングリオシドモノクローナル抗体, ならびにI型ガングリオシドと反応するモノクローナル抗体により, それぞれ認識された. また, G-1, G-2, G-3, G-4ガングリオシドは, そのシアル酸分子種としてN-グリコリルノイラミン酸のみを含んでいた. これらの結果から,T. sergentiのガングリオシドであるG-1, G-2, G-3, およびG-4は, GM3(NeuGc)[NeuGcα2-3Galβ1-4Glcβ1-1Cer], SPG(NeuGc)[NeuGcα2-3Galβ1-4GlcNAcβ1-3Ga1β1-4Glcβ1-1Cer], i型ガングリオシド(NeuGc)[NeuGcα2-3Galβ1-4GlcNAcβ1-3Galβ1-4GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glcβ1-4Glcβ1-1Cer], ならびにI型ガングリオシド(NeuGc)[NeuGcα2-3Galβ1-4GlcNAcβ1-3(Galα1-3Galβ1-4GlcNAcβ1-6)Galβ1-4GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glcβ1-1Cer]であることが示唆された.