Journal of Veterinary Medical Science
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ラット病態モデルにおけるガドジアミド注による造影MRIの検討
山田 一孝宮原 和郎佐藤 洋中山 和佳子佐藤 基佳広瀬 恒夫加藤 博敏池平 博夫舘野 之男杉原 博古濱 和久
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1996 年 58 巻 4 号 p. 291-295

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抄録

4種類のラット病態モデル(脳卒中易発症ラット, 中大脳動脈閉塞, 肝細胞癌, 水腎症)におけるガドジアミド注を用いた造影MRIの効果を1.5Tあるいは2.0Tの超電導MRI装置を用いて検討した. 脳卒中易発症ラットでは造影前に描出できなかった比較的新しい脳梗塞が検出され, 中大脳動脈閉塞モデルでは脳梗塞による傷害部位が造影された. 肝細胞癌モデルでは造影前に検出されなかった腫瘍が造影直後に検出された. 水腎症モデルでは, 正常腎で造影された腎髄質が造影されなかった. 脳卒中易発症ラットおよび中大脳動脈閉塞モデルの造影効果は血液脳関門の破綻によりガドジアミドが組織に漏出したことにより検出され, 肝細胞癌モデルおよび水腎症モデルでは血流によってガドジアミドが分布した結果として造影効果を示したものと考えられた. また, 水腎症モデルでは尿濃縮の過程が把握できたことから, MRIで腎機能評価を行い得る可能性が示唆された. なお, 造影MRI実施中に造影剤に起因すると考えられる異常症状は認められなかった. 以上の成績より, 造影MRIは安全であり, 腫瘍の検出のみならず種々の病態の評価に有用であると考えられた.

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