1996 年 58 巻 7 号 p. 669-672
Rhodococcus equiは近年, ヒトHIV感染患者の日和見感染症の起因菌として注目している. しかし, ヒ卜の生活環境中における本菌毒力株の分布は明らかではない. そこで, 日本各地の115の公園と49の庭から土壌と砂を234検体採取し, R.equiの分離を試みたところ173検体(73.9%)から菌が分離された. 土壌及び砂から分離された菌数は2.5×101から1.2×105/gであった. 分離株1,294株について毒力関連抗原15-17kDa抗原と20kDa抗原をそれぞれのモノクローナル抗体を用いて検索したところ, 全て陰性であった. 以上の成績から, 公園や庭の土壌や砂には本菌の無毒株が広く分布されているが, ヒトの生活環境は強毒株と中等度毒力株により今のところ汚染されていないことが明らかとなった.