本稿では,設計の「見える化」をテーマに,「多目的設計探査(MODE)」で用いられている自己組織化マップ(SOM)を利用した設計空間の可視化について,航空機設計の実例をもとに議論した.MODEから得られるSOMは,設計の機能の可視化になっている.設計空間にはどのようなトレードオフがあるのか,すべての目的関数を改善するような領域があるのかどうか,そのような領域があるとするとそこに属する設計解はどのような特徴を持っているのか,これらが可視化とデータマイニング技術の応用によって解析できる.もちろん設計空間にスイートスポットが必ずあるわけではない.多くの設計問題では,目的関数間のトレードオフ情報を個別に丁寧に見ていく必要があろう.しかし,このような考察によって設計空間の知識がより詳細に得られ,設計空間の「見える化」が進展すると考えられる.設計の分野においても,「見える化」の一層の活用が重要である。