抄録
モノづくり企業で研究開発に従事する立場から,熱・流体・音分野で「現場・現物」の見える化に取り組む事例を紹介した.はじめに,表面温度分布に関して,感温塗装を用いたマシンビジョンシステムを利用して,水冷ヒートシンクや透明アクリルダクト内の置かれた発熱体など,赤外線サーモグラフィでは計測できない条件で表面温度分布を可視化した事例を説明した.次に,内部流れに関して,掃除機の機能向上につながる知見の取得を目的に,PIVシステムを用いて掃除機に組み込まれる送風機内の流れの計測事例を述べた.最後に,機器から発生する音源探査に関して,スペクトログラムを活用した問題となる音の見える化,マイクロホンアレイを用いた音源の見える化,さらに移動物体の音源の見える化について,それぞれの計測原理と適用事例を説明した.