2013 年 33 巻 129 号 p. 24-27
ヒトをはじめとする脊椎動物の内臓は左右非対称な配置や形態を持っている。発生中のマウス胚において、受精後8日に左右対称な形態から左右非対称な形態に変化する。この時期、ノードと呼ばれる運動性の繊毛をもつノードとよばれる細胞群が正中線上に現れる。この繊毛は時計回りに回転運動し、将来の右側から左側へ向かう水流を発生させる。この左向きの流れがノード脇に左右対称に発現していた遺伝子発現を非対称に変化させると考えられている。本稿では、野生型と繊毛の変異胚それぞれにおけるノード流の流れ場の可視化計測を行った。PIV解析の結果、ノード内の局所的な左向きの流れでも左右対称な遺伝子発現を左右非対称に変化させることができるこが分かった。この事からノード細胞は流れを高感度に感知できるシステムを持っていることが示唆される。PIV解析は生命現象を解明するのに非常に有用な手法であるといえる。