2013 年 33 巻 129 号 p. 8-13
「濡れ」として知られる現象のうち,固液気3相境界線,いわゆるコンタクトラインの移動を伴う「動的な濡れ」について,ミクロな視点で現象やこれまでの知見を紹介する.特に,濡れ性のよい条件下で形成し,肉眼ではほとんど確認することの出来ない「先行薄膜」と呼ばれる領域に注目して,これまでに提案されている充分発達した状態に対する理論モデルや実験的研究に加え,非定常的な初期発達過程に関する実験結果を紹介する.また,著者の研究グループの研究活動の紹介として,ブリュースター角顕微鏡を導入して先行薄膜の初期発達過程の検出を行った例を取り上げる.