日本暖地畜産学会報
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原著論文(一般論文)
採餌効率の制御と防風林の枝打ちが鳥類の農作物残渣利用に与える影響
坂本 信介
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2015 年 58 巻 1 号 p. 87-94

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抄録

採餌効率と環境の安全性を低下させると動物の環境利用頻度が低下するという関係を利用して、家畜飼料用トウモロコシ農地における採餌効率を制御し、また農地に隣接する防風林の枝打ちをおこなうことで鳥類の農地利用を制限できる可能性を検証した。乳牛の餌槽への侵入という観点から問題視されるスズメ、ハシブトガラス、ハシボソガラス、キジバト、また穀類の食害被害を引き起こすカワラヒワが高頻度に農地に侵入していた。飛来ごとの滞在時間により定義した餌あきらめ時間は低採餌効率条件より高採餌効率条件で有意に長かったが、小型鳥類の場合、防風林の枝打ちをすると採餌時間が短くなった。採餌条件を設定後4 日目、8 日目の餌あきらめ時間は低採餌効率条件を経験した場合に短い傾向にあった。本研究により、農地の辺縁部に低採餌効率の環境を提示することによって、鳥類の農地内での採餌活動を一時的に減らせる可能性が示唆された。

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© 2014年 日本暖地畜産学会
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