日本暖地畜産学会報
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短報論文
モンモリロナイトの表面散布による牛および豚排せつ物由来の‌数種臭気原因物質の低減効果
石垣 元気小林 郁雄
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2020 年 63 巻 1 号 p. 13-16

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抄録

本研究では,飼養管理の異なる4種類の家畜(繁殖牛,乳牛,肥育牛および繁殖豚)の排せつ物にモンモリロナイトを表面散布することにより,家畜排せつ物由来の臭気の原因となる物質濃度を調査し,家畜排せつ物の臭気原因物質の低減効果について評価した.原因物質のうち,アンモニア(NH3)および酢酸濃度(CH3COOH)の増加が乳牛糞および豚糞において顕著であった.特に,豚糞におけるアンモニア濃度は,処理後7日目において最も高くなった.しかしながら,その値はモンモリロナイト散布の有無によって異なっており,モンモリロナイト0 kg/m2 散布区では80.0 ppm であったのに対し,モンモリロナイト1.5 kg/m2 散布区では41.3 ppm まで減少した(P < 0.05).乳牛糞のNH3 濃度もモンモリロナイト1.5 kg/m2 散布区(25.3 ppm)がモンモリロナイト0 kg/m2 散布区(42.7 ppm)と比べて有意に減少した(P < 0.05).また,豚糞のモンモリロナイト1.5 kg/m2 散布区のCH3COOH 濃度の減少も同様に認められた.以上の結果から,モンモリロナイトの家畜糞への表面散布は,いくつかの臭気原因物質において減臭効果があることが示唆された.

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© 2020 日本暖地畜産学会
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