水資源・環境研究
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論説
メコン河流域の持続可能な発展とローカル・ガバナンス
濱崎 宏則
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2010 年 23 巻 p. 23-36

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抄録

世界的な景気悪化の中でアジアが新たな市場として注目を集めており、メコン河流域諸国も順調な経済成長を遂げている一方で、水質や大気の汚染など、環境の悪化が人々の生活に影響を及ぼし始めている。しかし、制度や政策などの社会的な対応がそれに追いついていない。本稿は、ベトナム・カンボジア両国をまたがって流れるメコン河の支流において、上流のダム(ベトナム側)が下流の先住民族(カンボジア側)の生活に影響を与えている事例を取り上げ、ローカル・ガバナンスの視点からメコン河流域における持続可能な発展のための方策を展望するものである。つまり、水資源開発における合意形成の段階において、社会的弱者の意思が反映されにくい状況にあり、水資源開発の計画プロセスに社会的弱者の意思が反映されるようにするためにも、メコン河流域諸国においては、よりいっそう地方行政の成熟化を推進してローカル・ガバナンスを強化することが求められている。

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© 2010 水資源・環境学会
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