2011 年 24 巻 p. 22-28
途上国で進む都市化の中でスラムの拡大が進んでいる。このような都市貧困層に対しての水供給の実態をケニアの首都ナイロビ近郊にあるキバガレ・スラムにおいて調査を行った。住民への水供給の窓口となっているのが、「水ベンダー」と呼ばれるSemi-legal な水販売業者である。民営化後、この水ベンダーがスラム住人の命の水を握っていると言える。ところが、この水ベンダーの経営は極めて不安定であり、社会情勢によっては供給が断たれるということも十分にあり得る。水ベンダーおよびスラム住民への聞き取り調査を基に都市貧困層への水供給の実態を明らかにし、改善への道筋を考察した。