2017 年 30 巻 2 号 p. 61-65
2002年の独立行政法人水資源機構法の制定に伴い、同機構の水資源開発施設において、利水者が自ら発意して施設建設事業から撤退できることと撤退時の費用負担額算出方法が整備された。事業からの撤退通知者は、その意思表示の効果として「流水を水道等の用に供しようとする者」でなくなり、「事業からの撤退をした者」となるので、事業参加者が負担しなければならない水道等負担金の負担義務がなくなる。そして、事業からの撤退通知により通知者の事業からの撤退の効果が生じ、事業は撤退通知者の部分を除いたものに縮小し、従前事業の工事はできず、縮小事業の工事をするには事業実施計画を縮小事業に対応するように変更しなければならない。事業実施計画の変更前も、工事がされないので水道等負担金はゼロで発生しない。事業からの撤退通知者は水道等負担金の支払義務がないのである。