本稿は、全国の自治体の中で外来魚対策に積極的な滋賀県を事例に、ブラックバス等の外来魚による琵琶湖の在来魚への影響や生物多様性の損失を、CVM(仮想評価法)を用いて金銭的に評価するものである。分析の結果、滋賀県内の1世帯あたりの外来魚駆除事業に対する支払意思額(WTP)は平均2,969円となった。したがって、滋賀県全世帯の総支払意思額(TWTP)は14億675.7万円となり、2003年度における滋賀県外来魚対策事業費4億1798.1万円を上回ることが判明した。また、アンケート上で想定した仮想的な事業を実施した場合、その事業によって琵琶湖の生態系がどれほど回復するか、県民が感じる主観的な回復可能性が支払意思額の決定に大きく影響していることも明らかとなった。