抄録
大断面無垢スギ製材を対象に, 一定の品質を確保し長期優良住宅等にも対応できる加圧注入処理技術を開発することを目的に, 注入時の含水率とインサイジングが, スギ心材の薬剤注入量や浸潤度に及ぼす影響について検討した。
その結果, 注入時の含水率が低いほど, 薬剤注入量や浸潤度は高くなる傾向が見られたが, 含水率が約20%であっても, インサイジングを施していないスギ心材に加圧注入法により薬剤を注入した場合, 製材のJASに定める薬剤浸潤度の基準(80%)に合格するのは, 1/2~2/3であった。
しかし, 注入前にインサイジングを行い, 含水率を約50%以下まで低下させてから薬剤の加圧注入を行うと, すべての試験体が90%以上の高い浸潤度を示し, JAS の浸潤度の基準に合格した。