木材保存
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ホウ素系薬剤処理木材の耐蟻性試験
森田 慎一笹原 利文西園 靖彦佐々木 幸久
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2020 年 46 巻 6 号 p. 303-311

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抄録

鹿児島県内の海岸マツ林において,八ホウ酸二ナトリウム四水和物(以下DOT)で処理した木材の耐蟻性試験を実施した。国産のスギ,ヒノキのほか複数の輸入材を用いて,30(T)×30(R)×150(L)mmの小試験体と,12cm角の実大材(1m材に注入後,長さ20cm弱に切り分けたもの)を,非暴露非接地の条件で設置した。
DOTの注入量は,スギ小試験体では心材よりも辺材の方が概ね多かったが,ヒノキについては心材と辺材とで大きな差はみられなかった。実大材においては,スギ,ヒノキは減圧後に加圧しない場合には,また輸入材では加圧しても,十分な注入量は得られなかった。
シロアリによる食害は小試験体の試験区よりも実大材の試験区の方が早く進行した。4年間の観察の結果,非暴露非接地の条件であれば,薬剤の注入量(ホウ酸等量で3%以上)を担保できれば,DOT注入処理材も十分な耐蟻性を期待できることがわかった。

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© 2020 公益社団法人 日本木材保存協会
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