2009 年 55 巻 3 号 p. 163-169
ホオノキの樹皮に含まれ,薬理活性を有するネオリグナンの一種のマグノロールを大量生産する方法として組織培養法に着目し,ホオノキの葉柄と成熟種子からのカルス誘導条件とその増殖条件の検討,およびカルス中に含まれるマグノロールの同定・定量を行った。その結果,葉柄および成熟種子からカルスは誘導されたが,増殖性は両者で異なった。成熟種子由来のカルスは,葉柄由来のカルスより高い増殖性が認められた。いずれの組織に由来するカルスにおいても,マグノロールが含まれることを確認した。カルス中のマグノロールの含有量の最高値は,葉柄由来は乾燥重量当たり約150μg/gで種子由来では70μg/gであった。カルス中のマグノロールの含有量は,カルス誘導条件,培養期間,植物器官およびカルスの色調によって異なった。