抄録
トドマツ製材とカラマツ合板を用いた道産I形梁のせん断クリープ特性を把握するために,スパン-梁せい比の異なる2種類のクリープ試験を行った。試験体は梁幅の異なる3種類ごとに3体とし,20℃65%RHの恒温恒湿室内で調湿した。曲げクリープ試験とせん断クリープ試験は温湿度が制御されない試験棟内で35日間ずつ各9回行った。50年後の相対クリープ,すなわち見かけの曲げクリープ係数は,曲げクリープ試験で約1.4,せん断クリープ試験で約1.8となり,せん断成分の多い条件でクリープたわみが増大すると予測された。それらの係数から本報で考案したクリープ係数分離法により求めた純曲げクリープ係数は約1.3,せん断クリープ係数は約2.0となった。分離したクリープ係数を用いた長期たわみ計算法ではスパンや荷重条件に関わらず常に合理的な剛性設計が可能となることが明らかとなった。