抄録
木造軸組工法の接合部の合理化を目的として,ガラス繊維強化ナイロン樹脂を挿入型のプレートとして用いるドリフトピン接合を考案した。この接合部のせん断試験を行い,ドリフトピンの形状が最大荷重や降伏耐力におよぼす影響を検討するとともに,鋼板挿入型の接合部と比較した。ナイロンプレートを用いた接合部のせん断性能は,鋼板を用いた場合と比較すると,初期剛性は60%,最大荷重は90%,降伏点荷重は90%であった。ナイロンプレートあるいは鋼板を用いた接合部では,どちらの場合も鋼管製ドリフトピンを用いた場合の耐力は通常のドリフトピンを用いた場合の80%であった。ナイロンプレートと鋼管製ドリフトピンの組合せでは,正負繰り返し加力によっても単調加力と同等の最大荷重と降伏点荷重を示した。また,降伏点荷重レベルの正負繰り返し加力においてもナイロンプレートの破壊は認められなかった。