2016 年 62 巻 6 号 p. 293-300
木理のコントラストの変化がその誘目性や見た目の印象に及ぼす影響を定量的に示すために,10種類の塗装によって材面のコントラストを変化させたスギ,ミズナラ,イタヤカエデの化粧合板を調製し,画像解析および視線追跡を含む観察実験に供試した。イメージング分光装置によって得られた各試料の色彩値付き画像データから,材面のコントラストに関係する画像特徴量を算出した。27名の被験者に各試料を所定の観察条件で観察させ,その間の視線の動きを測定するとともに,試料の見た目の印象を評価させた。画像解析から得られたコントラスト値によって塗装による材面のコントラストの差異を的確に表せた。また,主観的な「木理の明瞭さ」や材面の誘目性とコントラスト値との間に相関関係が認められた。